Fabric Tokyoに学ぶ!店舗DX事例で解くOMO戦略の成功ポイント

D2CとOMO戦略の概要

D2C(Direct to Consumer)とは、従来の流通チャネルを介さず、メーカーが自社ECサイトや直営店舗を通じて消費者に直接販売するビジネスモデルを指します。メーカーは商品だけでなく、ブランドのストーリーや世界観をSNSやメールマーケティングで直接伝えることで、ファン育成とコスト競争力の両立を図ります。特に近年は、データドリブンな顧客理解により、一人ひとりのライフスタイルに合わせたパーソナライズ提案が可能となり、顧客体験価値の向上に寄与しています。

一方、OMO(Online Merges with Offline)は、オンラインとオフラインの顧客接点を一体化し、シームレスな購買体験を実現する戦略です。ユーザーのオンライン行動データと実店舗での行動を統合し、各接点で得たインサイトをリアルタイムに反映させることで、購入率やロイヤルティの向上を狙います。例えば、ECサイト閲覧履歴に応じた店舗来店時のパーソナライズ接客などがOMOの典型例です。

これらを組み合わせることで、D2Cによる顧客情報の獲得ルートを、OMOで統合管理・活用し、オンライン誘導から実店舗での最適体験、さらにアフターケアに至るまで“一気通貫”の戦略設計が可能となります。

Fabric Tokyo概要

FABRIC TOKYOは「Fit Your Life」をブランドコンセプトに掲げ、最新テクノロジーとパーソナライズで完全オーダーメイドのビジネスウェアを提供するD2Cブランドです。公式サイトと店舗予約を連携し、初回採寸データはクラウド上で保持されるため、2回目以降はスマホ操作だけで簡単にオーダー可能。国内自社工場でのIoT管理生産により、1着約42,000円~という手頃な価格ながら、高い品質と短納期(約2週間)を実現しています。

FABRIC TOKYO新宿三丁目店の様子

FABRIC TOKYO新宿三丁目店の様子

また、ブランドが大事にする3つの価値「HI-JOY(楽しさ)」「HI-TECH(技術)」「HI-SUSTAINABILITY(持続可能性)」を通じ、ユーザー体験を設計。オンライン上でのスタイリング提案から、店舗での3Dスキャン採寸、AIスタイリング、リアルタイムの進捗確認とアフターサービスまでを一元管理しています。詳細は公式企業サイトをご参照ください:https://corp.fabric-tokyo.com/

購買体験プロセス(予約~アフターサービス)

予約

まず必要な追加情報をiPadで入力する

まず必要な追加情報をiPadで入力する

Fabric Tokyoでは公式サイトとアプリの両方でシームレスな予約が可能です。顧客は希望日時と採寸オプションを選ぶだけで完了し、登録情報は自動的に連携されます。この仕組みは最新の店舗 DX 事例として注目され、予約時点で顧客の属性や過去履歴を把握し、来店前の準備を効率化します。予約完了後に送られる確認メールには来店時の注意点も記載され、顧客満足度の向上に寄与しています。

来店・採寸

採寸中の筆者

来店時は専任スタッフが3Dスキャナーとタブレットを活用して迅速に採寸を実施。計測データは即座にシステムに反映され、オーダー精度を高めます。Fabric Tokyoの店舗 DX 事例では、ミスや手戻りを大幅に削減し、顧客が短時間で快適にサービスを受けられる環境を構築しています。また、データ取得後に自動で最適な製品提案候補が生成され、次工程のカウンセリングにスムーズに繋がります。

カウンセリング

デジタルが苦手としている素材選び(実際の生地サンプル)

採寸データをもとに、顧客のライフスタイルや好みをヒアリング。AIによるスタイリング提案と過去の購入履歴を組み合わせたパーソナライズドプランを提示します。この店舗 DX 事例では、対話型UIを活用して顧客の要望をリアルタイムに反映。専門スタッフが補足説明を加えることで、顧客は自分だけの最適解を直感的に理解できます。

発注・製造

確定したデザインデータは自動発注システムに連携され、国内生産ラインへシームレスに送信。小ロット生産ながら短納期を実現し、Fabric Tokyoの店舗 DX 事例として高い評価を得ています。生産過程ではIoTセンサーで品質管理を行い、不良品率を低減。進捗状況は顧客専用ポータルで随時確認可能です。

納品・アフターサービス

完成品は宅配または店頭受取を選択でき、顧客の利便性を最優先に設計。納品後にはサイズ微調整や修理予約がオンラインで完結し、長期的な顧客関係を維持します。このアフターサービスも代表的な店舗 DX 事例として、顧客ロイヤルティ向上に大きく貢献。フィードバック機能を通じて次回サービス改善にも活用されます。

購買体験を支えるOMO戦略の整理

Fabric TokyoのOMO戦略は、以下の4つの要素で構成されます:
1. 事前情報の自動連携
2. リアル×AIハイブリッド採寸・提案
3. シームレスな製造・納品プロセス
4. オンライン完結のアフターサービス
これらを統合することで、オンラインと店舗が一体化した高度な購買体験を実現し、顧客満足度とLTV向上に貢献しています。

本記事の検証を深めるため、筆者自らOMO戦略を体験する目的でFabric Tokyo青山本店を訪問しました。

著者の店舗訪問体験記まとめ

先日、筆者は実際にFabric Tokyo青山本店を訪れ、3Dスキャナーによる採寸からカウンセリング、発注体験までを一通り体験しました。入店すると、ホスピタリティあふれるスタッフが笑顔で迎えてくれ、タブレット画面上でブランドの世界観や製品ラインナップを丁寧に紹介。採寸ではわずか数分で全身データが取得され、AIスタイリング提案では自分の好みや職場の雰囲気に合った複数プランから選べたのが印象的でした。発注後は国内工場の進捗を示す画面共有があり、「本日データ到着」「縫製開始」のリアルタイム通知にワクワク感が高まりました。納品後のアフターサービス登録もスムーズで、今後のリピート利用にも安心感を抱く訪店体験でした。

執筆者:デジタルトランスフォーメーション研究所 代表取締役 DXエバンジェリスト 荒瀬光宏|荒瀬光宏 プロフィール

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